エストニア法人の決算手続き(2023年5月最新)
エストニア法人の決算申告が6月末までのため、申告の流れを解説していきます。
※情報について細心の注意を払っておりますが、解釈の相違や法律や制度の改正に未対応の場合がございます。当サイトの情報による不利益があった場合でも一切責任は負いかねます。
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まずはエストニア政府の登記サイトにログインします。
今回はID-cardでPINコードを入力してログインしました。
サイト上部の「Submission of a report」をクリックします。
次に上部の「Annual reports」を選択します。その後、画面内の「Add new report」をクリックし、年次報告書の申請画面に移動します。
決算の期間を確認後、「Annual report」(年次決算)、Consolidad report「No」(連結決算かどうか)、Category of reporting forms「Micrundertaking」(売上額5万ユーロまでの法人)を選択しました。
会計基準について、エストニア基準と国際会計基準IFRSがあるので、どちらかを選択します。最初にIFRSを選択しましたが、後述する申告フォームの関係でエストニア基準で申告をしました。
その他、自分で決算申告する場合は「No differentiations」を選択、英語で申告するので「YES」を選択しました。このページでは下記の画像のように選択し、次の画面に進みました。
また、この内容はあとで修正可能でした。
※追記 IFRSを選択すると、決算書のサイン入りPDFをアップロードする必要がありました。エストニア基準では入力フォームが出てくるので、エストニア基準に変更して進めました。
エストニア基準で進めると、「Filling in reporting forms」という選択項目が出るので、こちらを選択します。
初期選択で会計基準、人件費の項目にチェックが入っています。必須項目のため、そのままチェックにしておき、今回は貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)にチェックを入れます。中規模以上の法人はキャッシュフロー計算書等の追加書類の作成義務があるようです。
チェック項目を2項目(BS,PL)追加し、Saveを押すと次の画面に進みます。
BS、PLの項目が出たらまずはStatement of financial position(BS)の「Enter」をクリックします。
するとBSの数字を入力する画面が出てきますので、こちらを入力していきます。
売上が0や、取引が少ない場合は簿記2級程度の知識で作成できると思います。
PL項目は下記になります。
2022年は取引量が少なかった(年間30仕訳ぐらい)ので、まったく管理をしておらず、この画面にたどり着いてからBS、PLの数字の作成を始めることにしました。
BS,PLの作成後、Note(注記事項)で必須の項目について入力していきます。※作成前でも入力可能です。
Note 1 Accounting policies(会計方針)を選択すると、エストニアの会計基準に則って決算書が作成されているかの確認と、Going concernという、会計用語で「継続企業の前提」の可否の選択をします。破綻の可能性があるかどうかといった趣旨のため、通常は問題ないとして「Yes」を選択します。
Saveを押して、次にNote 2 Labor expense(人件費)に進みます。人件費の入力と従業員数を入力します。個人のみであれば0を入力し、Saveを押します。
最後にNote 3 Related parties(関連当事者)に進みます。経営者が横領をしていないか等を確認するイメージです。上場企業勤務の方や投資家の方であれば、有価証券報告書の関連当事者取引の項目と同じ理解です。
特にエストニア法人と個人で取引をしていない場合は0を入力し、Saveを押します。
以上でNote(注記)部分の必須項目は完了です。
BS,PLの入力が未完了の場合は入力をします。ユーロ建てなので小数点のある項目を打ち込んだところ、整数のみとエラーがでましたので四捨五入してBSとPLを作成しました。
メイン画面に戻り、「Continue to the next step」をクリックし、次の画面に進みます。
押したところ、エラーが出てしまいました。「Continue to the next step」に売上の詳細を入力する「Breakdown of sales revenue」があるので、こちらに進みます。
売上の種類を項目から選択をするようなので、「Choose」から該当の項目を選択します。売上がない場合は不要のはずです。
該当の項目を選択し、売上高を入力します。
入力完了後、「Continue to the next step」をクリックすると確認画面が表示されます。1は決算書のタイトル等が確認できます。写真等を追加できるようですが、今回は特に何もせず進みます。
「2.Generating and viewing the final report PDF to be submitted:」は監査報告書がある場合に追加をするようですが、小さい規模の会社は監査不要のためチェックはせず、「Generate the final PDF in estonian and english」をクリックし決算書PDFを生成します。
「3.Reporting data to Statistics Estonia:」に同意のチェックをし、4番の「Send the report to signing」をクリックし進みます。
次の画面ではデジタル署名かその他の方法を選ぶ項目が出るので、通常はデジタル署名を選択します。
決算報告の日付を選択します。作成当日の日付で進めます。
その後、デジタル署名のためにPIN2が必要です。
PIN2を入力し、完了後に決算書の提出をします。個人会社の場合は自分が100%株主なので、Approved by the shareholdersを選択します。次に、「Note: Before submitting the report you have to choose and fill in the proposal for the distribution of profit or covering of loss.」とあるので画面右の「Choose forms」をクリックします。
利益分配か損失補填の選択があります。今回は売上高の一部を資本金へ補填したいので、「Profit distribution proposal」を選択し「Save」を押します。
Saveを押すと前の画面に戻り、「Enter」項目が出てきますので進みます。
今回は資本金の支払に充てるため、「Additional payments into share capital」に金額を入力します。内部留保分は「Retained earnings after distribution (covering)」に入力し、Saveを押します。
これで提出の準備が完了しましたので、「Submit the report to the register...」をクリックし確認画面を進むと提出が完了します。
提出完了メールも送られてきますので、こちらで手続きはすべて完了になります。お疲れさまでした。
終わりに
今回は初めての決算申告で、行き当たりばったりで完了しました。
税金は配当時にかかるので、売上高の項目をきちんと申告することで税金面でのリスクは大きくないものと思いますが、ある程度取引数がある場合にはこまめに仕訳を切って保存しておくことをおすすめします。